森田起也@パソコン修理の鉄人・(株)日本ピーシーエキスパート代表
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データ復旧の仕組み
ハードディスクには、様々なデータを磁気のS,Nとして情報を記録しています。記録するデータ量は非常に膨大なものになりますので、データが保存されている場所の目次を同時に記録します。
データにアクセスするときは、まず最初に、この目次を確認して、実際にそのデータがどこに保存されているかを調べてからデータにアクセスをします。
そして、データを消去する場合は、データの実態を削除せずに、実は目次のみを削除しています。例えば、デジカメの写真データをゴミ箱に入れて、ゴミ箱を空にする場合、実際に写真のデータ(磁気情報)は削除せずに、その目次のみを削除しているのです。
これは、データを直接読むことにより、目次に出ていないデータを読み取ることが可能であることを示しています。データ復旧とはこの仕組みを利用しているのです。
HDDの磁気情報を複製する
障害があるHDDは、磁気情報を読み取ること自体が本体にダメージを与えることが多々あります。しかしながら、データを復旧するためには、何度も何度も根気よく磁気情報を探す必要があります。一般的には、データ復旧時には、おおもとのHDDを解析に使用するのではなく、磁気情報の複製HDDを使用します。この複製をつくるのが非常に難しいことが多く、非常に効果な専用の機械を使用しないと作れないことがあります。
データ復旧の障害の種類
データを失ってしまったHDDの症状は大きく分けると、下記の通りになります。
- 軽度の論理障害
磁気情報は残っているけど、目次が消されてしまっている状態です。もしくは、目次の数字がめちゃくちゃになってしまっている状態も含まれます。このようなケースでは、目次を信用せず、ひたすら実際の磁気情報を探して、目的のファイルを探し当てれば復旧が可能です。容量が大きければ、大きいほど探す時間が増えます。 - 重度の論理障害
磁気情報が残っている部分と残っていない部分が混在している状態です。例えば、エクセルファイルの一部の磁気情報が欠けてい足り、デジカメ写真の上半分に該当する磁気データが失われている場合、さらには、ディレクトリ構造やファイル名が失われているケースがこれに該当します。
写真の断片を再現したり、エクセルの一部のシートのみを復旧したり、ディレクトリ構造やファイル名が失われているので、目的のファイルを探すのは困難を極めます。 - 軽度の物理障害
HDDの機械的構造が軽度に故障している状態です。例えば、HDDの磁気記録面に不良クラスタがありOSでの修復限度を超えているケースなどがこれに該当します。 - 重度の物理障害
モーターの故障、基盤故障、ヘッド吸着、プラッター損傷などが該当します。部品交換などをして磁気情報を読み取ることがまずは必要となります。
物理障害は必ず論理障害を伴う
上記のような物理障害を患ったHDDから磁気情報を何とか読み出し、磁気複製を作成しても、すぐにデータを復旧できるわけではありません。ほとんどの場合、重度の論理障害を併発しているので、苦労して読みだした磁気情報はさらに非常に高度な解析工程をふんでデータ復旧をするのです。
まとめ
HDDの故障には、様々な段階があり、段階に応じて対処方法が変わってきます。また、データ解析や、修理の過程で状況が悪化することもあるので、非常に適切な判断、非常に高度な技術力が必須となってきます。
超高度な技術を駆使して磁気情報を読み取ったのちに、度論理障害と同じ解析を経てデータ復旧を行います。
データ復旧は、超高度な知識と経験、高価な装置を駆使して時間をかけて行います。また、一度状況が悪化したら二度とデータが出てこなくなりますので失敗は絶対に許されません。
これが、データ復旧費用が高額になってしまう理由です。