修理実績

Windows2000マシンの現場調査→修理提案の事例

修理の鉄人実績ブログ
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森田起也@パソコン修理の鉄人・(株)日本ピーシーエキスパート代表

1995年シリコンバレーでパソコンと出会い、プラント制御、カーナビの開発・設計を経て2003年に独立。産業用PC修理延命事業を開始。現在はパソコン修理の鉄人として、千葉県柏市にて、日本全国の生産現場の旧型PC修理・延命を行っております!趣味はトライアスロンでそっちでも鉄人です!!

【ご依頼者様】鳥取県米子市吉岡のお客様
【ご依頼内容】Compaq d530 CMTの旧型PC修理
【鉄人の修理内容】コンデンサ膨張や冷却機構の強化を含む徹底的なメンテナンス

生産設備監視用PCの徹底修理と長期使用に向けた対策

製造業の現場では、Windows 2000時代の旧型PCがいまだに使用されていることが多く、特に設備監視用のPCはその代表です。今回のご依頼は、Compaq d530 CMTの修理依頼でした。古いPCが原因で生産ラインが止まってしまうリスクがあるため、信頼性の高い修理が求められました。当社では、こうしたニーズに応えるべく、緻密なメンテナンスと複数の修理オプションを提供しました。

修理概要と提案内容 – 液漏れしたコンデンサの交換、冷却強化、予備機の製作

修理対象のPC本体(右)です。外観はしっかりしていますが、内部のコンデンサ膨張など長年の経年劣化が懸念されていました。

Windows 2000が起動するものの、フリーズする現象が頻発していました。システムが正常に動作しない原因究明が急務です。

PC背面にはLANケーブル3本、RS232Cケーブル1本が接続されています。これらの接続も定期的なチェックが必要です。

内部のマザーボード全景です。老朽化が進んでいるため、徹底的なメンテナンスが求められます。

膨らんだコンデンサ – 長期使用には危険な部品の交換

9割近くのアルミ電解コンデンサが膨張しています。長年使用されたPCではよく見られる劣化現象で、これがフリーズの主な原因と考えられます。

特にコンデンサの膨らみがひどく、液漏れを起こす寸前です。電解コンデンサが劣化すると安定した電流供給ができなくなり、PCの突然のフリーズや電源が入らないといった問題が生じます。

交換が必要な内部部品と冷却システムの見直し

膨らんだコンデンサは、電解液の漏出リスクが高く、早急な交換が必要です。液漏れが発生すると基板が腐食し、さらなる不具合を招くためです。

膨らんでいる電解コンデンサのアップです。こうした劣化は、安定動作のために交換が必須です。

ATX電源内部を確認しました。電解コンデンサは膨らんでいませんが、経年劣化が進んでおり、交換が望ましい状態です。

追加対策 – 高品質ファンと冷却機構の強化

冷却用のファンはスリーブベアリングを使用しており、長期的な耐久性に難があるため、信頼性の高いボールベアリングタイプへの交換が推奨されます。

NVIDIA P118のグラフィックボード。経年劣化により、不安定な動作が見られることが確認されました。安定稼働のためには定期的なチェックが欠かせません。

修理プランの提案とお客様との詳細打ち合わせ

内部の部品交換や冷却機構の強化について、以下の3つの修理プランを提案しました。

  • 1. すべての劣化部品を交換し、冷却も強化した長期使用プラン
  • 2. コンデンサ交換のみの最低限の応急修理プラン
  • 3. 上記2つの中間的な修理プラン

ZOOMでの打ち合わせで各プランのメリット・デメリットについて詳細に説明し、お客様には適切な修理プランをご検討いただくことになりました。20年以上前のPCを修理することには様々なリスクが伴うため、その点についても十分にご理解いただきました。