森田起也@パソコン修理の鉄人・(株)日本ピーシーエキスパート代表
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最新のWindows上で、旧来のOSを動かすことができる仮想環境(以前の仮想環境の記事参照)を使うことにより、とくに旧型パソコンの寿命問題を解決することができます。
パソコン修理の目的は?
パソコンを修理するのはどうしてでしょうか?さまざまな考え方がありますが、「父親の形見」や、「思い入れのあるパソコン」出なければ、つまりはアプリケーションをつか得るようにすることが本来の目的であると考えられます。
とくに、業務においてパソコンを使用する場合を考えてみると、例えば、「顧客名簿をもとにDMを送付する」や、「計測装置からのデータを画面表示して、印刷をする」などができないのが困るのであって、これがすぐにできるのであれば、パソコンが何色であろうが、どこのメーカーであろうと関係がないのではないでしょうか?
パソコンを修理する究極の目的は、「アプリケーションとデータを今まで通り使用する」ことであると私は考えております。そして、パソコンの部品を交換したり、電源を交換したり、メインボードを交換するのは、あくまでアプリケーションとデータを今まで通り使用できるようにするための手段であると考えています。この作業は、近年「レガシーマイグレーション」として注目を浴びつつあります。
20年前のパソコンを修理するリスク
20年前のパソコンを修理する際には、劣化部品を交換し、極力延命をするように留意します。(延命についての記事参照)それでも、修理後数年たてばやはり故障する可能性は否めません。古い部品を使用している限りは、経年劣化の運命から逃れることはできないのです。
仮想化で経年劣化のリスクをなくす
20年前のパソコンで使用していたアプリケーションとデータが最新のパソコンに仮想環境で動くようになれば、たとええホストPC(仮想環境があるパソコン)が故障しても、ほかのパソコンに仮想環境を作ってしまえば対象となるアプリケーションとデータは動きますので、永遠に使えることになります。つまり、経年劣化や部品の保有期間終了とは無縁になるのです!
仮想化が可能な事例
Windows98で開発されたデータベースアプリを使って、商品のタグをサーマルプリンター(シリアルポート経由)にてバーコード印刷をするシステムの事例です。
こちらのパソコンに、Windows98ベースの業務アプリが動いていましたが、電源が入らなくなってしまったとのことでした。
Windows7のパソコンに仮想環境を作り、そこで故障PCのHDDイメージを展開して完全動作するようにした事例です。もとはデスクトップパソコンでしたが、Windows7のノートPCに移植したので、停電時のバッテリー稼働するようになりました。
仮想化が不可能な事例
例えば、計測機械で計測した様々な信号を専用のAD変換ボードにてデジタル信号に変換後、ISAバスを経由してWindowsNT上の専用アプリにて計測値表示する事例は、最新のPCに、ISAボードのドライバが対応しないので、仮想化ができませんでした。(仮想環境にてNT及び、専用アプリは動作OKでした)
まとめ
仮想化ができる場合とできない場合がありますが、仮想化をすることにより、将来の経年劣化による故障のリスクを限りなくゼロにすることができます。業務用途において、パソコン修理は、あくまでアプリとデータを利用するための手段といえます。これを踏まえたうえで、仮想化の技術を使うとパソコンの経年劣化や、部品枯渇という問題を回避できるようになり、これが仮想化の最大のメリットといえます。
パソコン修理の鉄人は仮想化技術を日々磨いています!