

森田起也@パソコン修理の鉄人・(株)日本ピーシーエキスパート代表

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【ご依頼者様】兵庫県宝塚市中筋の医療機関様
【ご依頼内容】MC2500SBFMの2003server起動と電子カルテソフト動作
【鉄人の修理内容】旧型PC修理
Windows2000時代に医療電子カルテ運用の為に医療機器会社PHC株式会社 メディコム事業部より購入の医事パソコン。
SANYOのプレートが張られていますがNEC社のOEMです
電子カルテデータは、当時USB別ドライブやLANを使ったネットワークに保存する仕組みです
パソコン本体windows2000serverインストールディスクとUSB接続HDD
起動しない為、まず分解調査を始めます
メインボードには経年劣化したコンデンサ部品の膨張が見られます。これらコンデンサは熱などにより膨張破裂する事で定格な機能を果たさなくなります。経年したコンピュータに多く見られる劣化故障です
内部の結線コネクタは複数外れています おそらくご依頼者様もしくは医療機器会社様の事前分解の可能性があります。
HDDはserverらしく2基搭載 ミラーリングしている可能性がありますが、到着時は2の結線は外れていました
FDDと光学ドライブ。各々スリットに溜まった埃は長期連続運用の証です
HDDを2基ともマウンタから外して単体検証します。OSと電子カルテソフトやデータが保存された重要なストレージです
電源ユニットの電圧検査。定格電圧が低く測定されます。内部のコンデンサの交換が必要
電源内部の冷却のための吸い込み口にはふさぐほどの埃堆積。長期間運用したパソコンではこのような状態が多いですが、内部温度が上昇するとアレニウスの法則で半導体部品の寿命は著しく短命になります。内部に溜まった埃はオーバーホール作業でブロークリーニングします。
HDD単体検査実施
44213時間の累積使用時間 汎用HDDの平均交換タイミング時間の約8倍使用している値です
ミラーリングされた2台目HDDの単体検査
44172時間の累積使用時間 1台目とは数時間の誤差あり 2台とも経年劣化危険レベルを超過しています。
電源ユニット分解調査 内部の電装部品には埃が堆積しています
経年と発熱で劣化は危険レベルです。 オーバーホールとコンデンサ部品の交換で定格電圧出力の機能復帰が必要です
外付けHDDです。
外付けHDDのSMARTです。注意判定ですので交換が必要です。おそらく重要な過去の電子カルテデータがバックアップされていますので新HDDにクローン化します
電源ユニットとマザーボードのオーバーホールと全コンデンサー部品を高信頼性で耐熱105度の日本製部品へ交換を行いました。当然埃は全てクリーニング、CPUグリスも高性能なグリスを再塗布します。
サーモグラフィー、表面温度です。放熱を妨げる埃を除去したことで健全な温度状態です
搭載メモリーの検査をしました。今回の検査では異常は見つかりませんでした。
仮組してクローン化した産業用SSDで起動検証します
産業用SSDの効果もあり素早いOS起動を確認しました。続いて電子カルテソフトの挙動検証。別ドライブへのアクセス要求があります
旧電子カルテのデータが保存されたUSB接続外付けHDDをクローン化した新HDDへ交換しました。
本組しました。