修理実績

工場の設備に使用されているFA2100A model 110の修理延命事例

修理の鉄人実績ブログ
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森田起也@パソコン修理の鉄人・(株)日本ピーシーエキスパート代表

1995年シリコンバレーでパソコンと出会い、プラント制御、カーナビの開発・設計を経て2003年に独立。産業用PC修理延命事業を開始。現在はパソコン修理の鉄人として、千葉県柏市にて、日本全国の生産現場の旧型PC修理・延命を行っております!趣味はトライアスロンでそっちでも鉄人です!!

【ご依頼者様】滋賀県草津市のお客様

【ご依頼内容】FA2100A model 110の修理
【鉄人の修理内容】旧型PC修理

こちらは、パソコン正面です。

こちらは、パソコン背面です。

お客様より送付いただいた添付物一式です。

お客様の要望(ニーズ)

連休明けから立ち上がらなくなり設備が使えないため、使用できるようにしてほしい

1年前にも連休明けに同様の問題が発生し、PCは電源が入るもののWindowsが全く立ち上がらない症状がありました。再起動で解決したものの、今年の連休明けには全く起動しなくなり、設備が使用できないため、迅速な対応を要望されました。

Windowsが起動しようとするも、起動に失敗する症状を確認しました。

技術的な解説と修理内容

FA2100Aシリーズは、産業用コンピュータとして高い信頼性を誇るモデルですが、長年の使用による部品の劣化が原因で、このようなトラブルが発生します。特にグラフィックボードやHDDの物理的な損傷がよく見られます。

1. グラフィックボードの故障

今回の故障原因の一つは、グラフィックボードの故障でした。FA2100A model 110に搭載されていたのは、ATI Radeon 7000というAGPスロット対応の古いモデルです。このカードは2001年に発売され、当時は64MBのビデオメモリとDirectX 7対応という仕様でしたが、現代の基準では非常に古いもので、長年の使用による劣化が考えられます​:contentReference[oaicite:0]{index=0}​:contentReference[oaicite:1]{index=1}。

グラフィックボードのコンデンサが破裂していました。

2. HDDの物理障害とRAID構成

FA2100AにはRAID 1構成でHDDが組まれていました。RAID 1は、同じデータを2つのHDDに書き込む「ミラーリング」を行い、片方のHDDが故障した場合でもデータが失われない仕組みです。しかし、今回のHDDは物理的に障害を起こしており、両方のドライブに問題が発生していました。

このRAID構成により、システムはHDDが1台死んでも動作可能でしたが、今回は両方のHDDに問題が生じたため、クローンを作成してもデータの一部が破損していました。

RAID 1構成だったことがデータ比較から推察されます。

提案内容

お客様には以下の3つの選択肢を提案しました。

  1. 修理+予備機制作:グラフィックボードとHDDの修理に加え、同じシステムを備えた予備機の制作。
  2. 修理+最大限の延命:現行のハードウェアを可能な限り延命し、追加の保守サービスを提供。
  3. 最低限の修理のみ:最小限の費用で必要な部分のみ修理。

導入結果

お客様は「最低限の修理+HDDはRAIDの2台とも新品交換+出張納品」を選択されました。

グラフィックボードは新しいものに交換し、HDDはRAID構成のまま最新の産業用SSDに交換しました。これにより、システムの安定性が向上し、次回の故障時にも致命的な問題を防げるように対応いたしました。また、現場訪問で確実に設備が動作するところまでサポートいたしました。

作業完了報告

クローンHDDの作成、RAIDボードの撤去、グラフィックボードの交換を完了し、最終的な動作確認を行いました。RAIDボードを介さずHDDを接続した場合、RAIDエラーが解消され、HDD交換後も安定した動作を確認しました。

現場に設置し、正常に起動することを確認しました。