修理実績

クリームはんだ印刷機の端末Logitec MHLR-PF28RC6L/XP の修理延命事例

修理の鉄人実績ブログ
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森田起也@パソコン修理の鉄人・(株)日本ピーシーエキスパート代表

1995年シリコンバレーでパソコンと出会い、プラント制御、カーナビの開発・設計を経て2003年に独立。産業用PC修理延命事業を開始。現在はパソコン修理の鉄人として、千葉県柏市にて、日本全国の生産現場の旧型PC修理・延命を行っております!趣味はトライアスロンでそっちでも鉄人です!!

【ご依頼者様】長野県安曇野市のお客様
【ご依頼内容】Logitec PC MHLR-PF28RC6L/XP(C2C6356010001)の修理
【鉄人の修理内容】旧型PC修理

こちらが修理対象のパソコン正面です。Logitec製のこのPCは、かつてオフィスや小規模業務用に広く使われたもので、レトロなデザインが懐かしいですね。

こちらは背面の様子です。古いインターフェースが今では貴重なリソースとして評価されています。特に、この時代のPCはパラレルポートやレガシーシリアルポートを備えているため、特定の産業機器との接続には欠かせません。

お客様から送付いただいた付属品一式です。古いPCの修理は、こうした付属品の確認から始まります。ハードウェアが正常でも、ケーブルや電源ユニットに問題があると正常に動作しません。

起動しないとのことでお預かりしましたが、まずはWindowsの起動を確認しました。起動できたとしても、古いPCは動作が不安定なことが多く、初期のテストを通過しても油断は禁物です。

内蔵されているHDDは80GBのPATAタイプです。この規格は現代ではほとんど見かけなくなりましたが、かつては主流だった技術。HDDの寿命や健康状態を確認する際、この古い規格特有の注意点があります。

パソコン内部の様子です。内部の構成部品を見ると、当時の技術と現在の技術の進化を感じます。このPCは、オフィス向けとしては堅牢に作られており、ビジネス用途で長期間使用されていたことが伺えます。

専用ツールを使ってBIOS上で簡易テストを行い、全ての項目をクリアしました。BIOSレベルのテストは、OSが起動する前にハードウェアが正しく機能しているかを確認するために重要なステップです。

専用ツールによる高負荷テストも無事に通過。高負荷テストでは、CPUやメモリ、グラフィックボードなどに負荷をかけ、ハードウェアの耐久性や性能を確認します。特に古い機器では、この段階での問題発見が重要です。

左のオリジナルHDDから右の新しいHDDにクローンを作製しました。データのクローン作成は、故障リスクを軽減しつつ、古いシステム環境を新しいハードウェアで再現するために不可欠な作業です。

オリジナルHDDの健康状態を確認しましたが、このタイプは詳細な情報を取得できないため、使用時間などの簡易測定を行いました。596時間と短めの使用時間ですが、古いHDDは経年劣化の影響を受けやすいです。

クローンHDDを使用してWindows上で動作を検証しようとしましたが、起動せず。オリジナルHDDでも同様の問題が発生しているため、システム全体に何らかの障害が発生している可能性が高いです。

電源の電圧を測定したところ、12Vが著しく低いことが判明しました。ただし、測定環境によるブレの影響も考えられるため、この段階では電源の不調と断定するのは難しいです。

こちらはマザーボード「PWB.R0176002 FB6-L-4M-10」の様子です。このボードは、Logitecが自社製品用にカスタマイズしたもので、一般的なPCパーツショップでは入手困難な部品です。2024年現在、海外でも調達不可能な非常に貴重なマザーボードです。

グラフィックボードはMatrox製「MGI G55+MDHA32DB」です。Matroxはグラフィック処理に特化した製品で知られ、このボードも当時は高品質なディスプレイ出力を提供していました。

キャプチャーボードはMELEC製の「C-871」です。産業用PCにおいて、このようなキャプチャーボードは画像処理やデータ収集に利用されることが多く、修理の際には特に慎重な扱いが必要です。

こちらはCognex製の画像処理用ボード「ASY:200-0130-5 B, MFG:801-8136-04 C, VPM-8100LS-000」です。Cognexは画像認識技術に優れた企業で、工場の自動化などに広く使われています。

日立テクノ製のMCTL 1ボードです。日立はこの分野での長い歴史を持ち、その技術力は信頼性の高さで知られています。

こちらはインターフェースボードの接写です。このようなボードは、特定の産業機器やシステムとの通信を行うために重要な役割を果たしています。

CPUはインテル® Pentium® 4 プロセッサー 2.80 GHzです。これは当時の主力CPUであり、単一コアながらも高いクロック速度を誇り、多くのデスクトップPCに搭載されていました。

エラーメッセージの記録を確認しましたが、特筆すべきエラーは見つかりませんでした。ただし、2022年11月25日以前に大きく時間が飛んでいる記録があり、おそらくその時点で時計設定が修正されたものと思われます。

電源ユニットは高耐久のニプロン製です。ニプロンは産業用電源において信頼性の高い製品を提供しており、古い産業用PCの修理においても重要な役割を果たしています。

こちらが電源内部の様子です。劣化が見られるため、オーバーホールが必要です。特にコンデンサの寿命が尽きかけている場合、電源の安定供給が難しくなります。

オリジナルHDDから高耐久スクリーニング済みのHDDにデータを移行します。古いHDDのデータ移行は、慎重に行わなければデータ損失のリスクがあります。

スクリーニングの際のHDDステータスです。弊社では、産業用として使用するHDDのため、HDDの読み書き特性をあらかじめ調べ、未然に不良品または、近い将来故障する可能性がある固体を排除しております。これを「スクリーニング」と呼んでいます。

データ移行したHDDを別のリムーバブルケースに組み込みました。これにより、将来的にデータのバックアップやトラブル時の切り替えが容易になります。

実機での健康状態確認を行い、すべて良好と判断しました。この段階でシステムが安定して動作することを確認し、修理完了へと進みます。

古いCPUグリスを除去し、新たに塗布しました。これにより、冷却効率が大幅に向上し、システムの安定性がさらに強化されます。

電源のオーバーホールを行い、交換したコンデンサです。電源ユニットのコンデンサは、長期間使用すると性能が低下し、故障の原因になります。

リムーバブルベイに組み込んだ状態です。リムーバブルベイを使用することで、最も重要なHDDのバックアップが容易になります。ただ、このPCに限って言えば、HDDよりメインボードのほうが貴重です。

最後に、リチウム電池を交換します。BIOSや時計設定の維持には欠かせない部品で、交換することで、今後のトラブルを防止します。