修理実績

日立製産業用PC HJ-6535のオーバーホール

古いパソコン修理
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森田起也@パソコン修理の鉄人・(株)日本ピーシーエキスパート代表

1995年シリコンバレーでパソコンと出会い、プラント制御、カーナビの開発・設計を経て2003年に独立。産業用PC修理延命事業を開始。現在はパソコン修理の鉄人として、千葉県柏市にて、日本全国の生産現場の旧型PC修理・延命を行っております!趣味はトライアスロンでそっちでも鉄人です!!

旧型産業用PC 日立 HJ-6535の修理と整備

【ご依頼者様】福岡県北九州市小倉北区のお客様

【ご依頼内容】旧型産業用PC「HJ-6535」の整備および修理

日立製の「HJ-6535」は、産業用PCとして長年信頼されてきた高耐久モデルですが、経年劣化に伴う部品の消耗が進んでおり、予備機の確保が急務となっています。特に、製造現場で常時稼働が求められる環境では、予備機の整備はビジネスの安定運営に欠かせません。

内部の確認とオーバーホール

まず、パソコン内部を確認しました。長年の稼働による熱とほこりの蓄積が見られました。特に産業用PCは、過酷な環境での使用が多く、冷却性能が低下するとシステムの信頼性が損なわれます。内部の清掃は、冷却効率を保つために不可欠な作業です。

次に電源ユニットをオーバーホールしました。特にアルミ電解コンデンサの交換は重要です。コンデンサの寿命が尽きると、電力供給が不安定になり、PCが突如シャットダウンすることもあります。日本製の高品質なコンデンサに交換することで、安定稼働を実現しています。

オリジナルのファンは、冷却性能が時間とともに低下する可能性があるため、点検しました。特にHJ-6535のような旧型PCでは、ファンの故障によるシステム全体の過熱が故障の原因となることがあります。今回、ファンの交換も含めた対応を行うことが、予防的な措置として有効です。

HDDには、産業用の高耐久モデル「WDレッド」を採用しました。WDレッドは、長時間連続稼働が前提の設計で、データ保護や安定性に定評があります。高耐久のストレージは、特に工場や生産設備での使用に最適です。常に安定した稼働が求められる環境では、信頼性の高いHDDが不可欠です。

今回、オリジナルのHDDと同じ160GBの容量を持つHDDにデータを移行し、RAID1構成でのクローン作成を行いました。RAID1構成は、データの安全性を確保するために二重にデータを保存するため、HDD故障時にも迅速に復旧が可能です。

RAID1構成を維持することで、万が一のHDD障害に対しても、データの冗長性を確保しています。RAID構成のステータスが正常であることを確認し、PCの安定した稼働を保証しました。製造現場では、このようなデータ保護が非常に重要です。

Windowsのデバイスマネージャーやシステム情報をチェックし、すべてのデバイスが正常に機能していることを確認しました。特に古いPCでは、ドライバの互換性やデバイスの認識に問題が発生することがありますが、今回の整備によりすべての問題が解決されました。

92mmファンについては、オリジナル品が流通していなかったため、同等規格の新品ファンを取り付けました。ファンの回転数や風量は、システム全体の冷却に大きく影響します。今回の交換により、冷却性能が確保され、システムの寿命が延びることが期待できます。

内蔵電池も新品に交換しました。電池はBIOS設定の保持に必要で、これが切れると時刻設定やシステム設定がリセットされ、正常に起動しなくなることがあります。これにより、BIOSの設定を保持できるようになり、スムーズな運用が可能です。

交換した内蔵電池が正常に動作し、電源がオフの状態でもBIOS設定が保持されていることを確認しました。BIOSの設定が保存されることで、再設定の手間が省け、システムが迅速に復旧します。

CPUヒートシンクとマザーボードヒートシンクを取り外し、劣化したグリスを除去しました。古いグリスは熱伝導効率が低下し、CPUの温度が上昇する原因となります。新品のグリスを塗布することで、システムの安定性が向上し、長時間の高負荷動作にも耐えられるようになります。

CPUとマザーボードのグリスを新品に交換しました。これにより、熱伝導が改善され、CPUの過熱を防ぎます。製造現場では、PCが24時間連続稼働することが多いため、冷却性能の維持は非常に重要です。

CPUとマザーボードに新品のグリスを塗布し、システム全体の確認を行いました。グリスの劣化を防ぐことで、長期間にわたってPCの性能を維持できます。

前面の吸気フィルターも劣化していたため、新品に交換しました。空気の流れを確保するため、定期的なフィルター交換は重要です。特に、ほこりが多い工場内では、吸気フィルターの効果がシステムの寿命に直結します。

Windows上での高負荷テストも無事通過しました。このテストでは、システム全体の安定性を確認し、長時間の高負荷動作に耐えられるかどうかを検証します。旧型PCにおいて、このようなテストを行うことで、将来的な故障リスクを事前に防ぐことができます。

予備機としての整備結果

今回の整備では、HDD交換、電源ユニットのオーバーホール、メインボードの確認・調整など、予備機として万全な状態に仕上げました。お客様のニーズに合わせた柔軟な対応が可能で、将来的なリスクを最小限に抑えることができます。

修理完了後、PCの動作状況を確認し、安定していることを確認しました。PC内部のオーバーホールとクリーニングによって、長期的な安定稼働が可能です。

このように、旧型PCでも適切なメンテナンスを行うことで、予備機としての役割を果たすことが可能です。今後も同様の問題にお困りの際は、ぜひご相談ください。