森田起也@パソコン修理の鉄人・(株)日本ピーシーエキスパート代表
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【ご依頼者様】神奈川県海老名市のお客様
【ご依頼内容】CPUボード SYS71838ver1.2 の修理
お客様より依頼された修理は、産業用PCで使用されているCPUボードSYS71838ver1.2のものです。このボードは数十年前の産業装置に使用されており、長年の稼働で劣化していました。
1台目のボードで動作確認が取れず、再度同じ型番のボードを手配しました。旧型機器では、部品の経年劣化や製造時期の違いにより、互換性に問題が発生することがあるため、動作確認が重要です。
2台目のボードでも動作せず、3台目を手配して試したところ、電源の相性による問題であることが判明しました。産業用PCでは、特定の電源に依存するボードが存在することが多く、異なる電源を試すことでようやく正常に動作することがあります。
最終的に、特定の電源で動作が確認でき、BIOS上の簡易テストを専用ツールで実施しました。BIOS上でのテストでは、基本的なシステムの動作確認を行います。
次に、CPUとメモリに負荷をかける高負荷テストを行いました。産業機器は長時間、高負荷の運用が想定されるため、これらのテストは安定性確認に不可欠です。
メモリのエラーチェックを行うため、CDブートによるMEMTESTも実施。メモリエラーは、特に旧型PCでは頻発する問題であり、チェックを怠るとシステムの不安定要因となります。
テスト中の温度分布にも異常がなく、冷却システムが正常に機能していることを確認しました。長時間稼働する産業用装置では、熱管理が非常に重要です。
計3台のCPUボードを使用しての動作確認を経て、最終的に相性問題が解消されました。産業用PCのような古い機器では、動作確認に時間がかかることがあるため、複数の同型部品を使用することが多いです。
BIOS設定の保持も確認し、バッテリの劣化がないかをチェックしました。産業機器では、設定が保持されない場合、再設定に手間がかかるため、定期的なメンテナンスが必要です。
ボタン電池の交換を行い、動作が安定したCPUボードを添付品と共に納品しました。ボタン電池はBIOS設定を保持するために必要であり、定期的な交換が推奨されます。
お客様の要望:製造装置のブルースクリーン問題を解決し、装置の安定化を図る
お客様は、製造装置が時々ブルースクリーンになる問題を抱えていました。この装置はあと数年使用予定で、故障が発生しないように安定化を図りたいとのご依頼です。こうした旧型の製造装置は、現代の標準機器では代替できない特殊な機能を持つことが多いため、延命措置が必要です。
現場での調査結果、CPUボード上のアルミ電解コンデンサが膨らんでいることが判明しました。アルミ電解コンデンサは、膨らんでいる状態でも動作する場合がありますが、これが原因でブルースクリーンやフリーズが発生することが多いです。
膨らんだコンデンサは、電力供給の不安定を引き起こし、システム全体に影響を及ぼします。そこで、コンデンサを交換するか、予備のCPUボードを確保して、メインのボードを延命することを提案しました。
サービス導入結果:冗長化に成功し、安定稼働が実現
今回、イスラエルからCPUボードを取り寄せ、動作確認を行った後、納品しました。装置が1時間でも停止すると大きな損失が出るため、2台体制にすることでリスクを回避しました。冗長化により、システムの安定稼働が確保され、製造装置の寿命を延ばすことができました。
旧型PCで使用される部品は非常に希少であり、早めに予備部品を確保することが重要です。今回のケースでは、予備ボードの導入により、装置の長期的な運用が可能となり、ブルースクリーン問題も解消されました。