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古いパソコン修理
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森田起也@パソコン修理の鉄人・(株)日本ピーシーエキスパート代表

1995年シリコンバレーでパソコンと出会い、プラント制御、カーナビの開発・設計を経て2003年に独立。産業用PC修理延命事業を開始。現在はパソコン修理の鉄人として、千葉県柏市にて、日本全国の生産現場の旧型PC修理・延命を行っております!趣味はトライアスロンでそっちでも鉄人です!!

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【ご依頼者様】福岡県福岡市中央区のお客様

【ご依頼内容】Express5800/120Rg-1の旧型PC修理

お客様から送付されたサーバーの送付物一式です。Express5800シリーズは、NECのサーバーラインとして長く使用されてきました。高い信頼性と耐久性により、多くの企業の基幹システムとして稼働していますが、15年経過した旧型サーバーでは部品の入手やメンテナンスが課題となります。

こちらはサーバー背面です。Express5800シリーズはSAS(Serial Attached SCSI)接続を使用しており、企業向けサーバーに必要な高速データ転送が可能です。SASはサーバーのパフォーマンスを最大限に引き出すためのインターフェースで、高信頼性が求められる環境でよく使用されています。

サーバー正面です。このExpress5800/120Rg-1はラックマウント型で、データセンターや企業のサーバールームでの使用を目的に設計されています。旧型モデルでも、堅牢な設計によって長期間安定して稼働していますが、内部の部品が経年劣化するため、定期的なメンテナンスが必要です。

内蔵されているHDDはSAS接続のST3146855SSが3台です。このHDDはエンタープライズ向けの15,000RPMの高速ドライブで、特にI/O負荷が高いサーバー環境で優れたパフォーマンスを発揮します。RAID構成でデータの冗長性を確保しており、信頼性の高いストレージシステムを提供します。

サーバー内部の様子です。湿り気を含んだホコリが各部に堆積しています。サーバー内部のホコリは、特に電源や基板に影響を与えることがあり、定期的な清掃が不可欠です。ホコリは冷却効率を低下させ、過熱や電気的トラブルの原因となります。

ホコリをすべて除去しました。ホコリがたまると冷却が不十分になり、サーバー内部の温度が上昇して部品の劣化を加速させます。特にサーバーは24時間稼働するため、冷却性能の維持が非常に重要です。

電源ユニットもホコリで覆われていました。電源ユニットの内部がホコリで汚れていると、ショートや過熱が発生しやすくなります。電源はサーバーの安定稼働を支える重要な部品であるため、清掃と点検が欠かせません。

2つの電源ユニット内部のホコリを除去しました。劣化が進んでいるため、オーバーホールが必要です。サーバーの電源ユニットは通常10年ほどで交換が推奨されており、劣化したまま使用を続けるとサーバー全体の信頼性が低下します。

専用ツールによるBios上の簡易測定では、Dmaチャンネル以外はすべて良好でした。Dma(Direct Memory Access)チャンネルの不具合はデータ転送のボトルネックとなるため、対応が必要です。

サーバーは高負荷テストにも合格しました。サーバーの耐久性を確かめるために、こうした負荷テストは不可欠です。特に24時間稼働する環境では、高負荷に耐えられるかどうかが重要です。

ボタン電池が切れていたため、新しいものに交換しました。このバッテリーはサーバーのBIOS設定とシステムクロックの保持に不可欠です。これが切れると、BIOS設定がリセットされ、サーバーの初期化や再設定が必要になる場合があります。特に旧型サーバーでは、バッテリー切れがシステム障害を引き起こすことが多いです。

DVDドライブが読み取り不能になっていたため、外付けUSBドライブを使用しました。古いサーバーは内蔵ドライブに依存している場合が多く、こうした故障に備えてUSBからの起動手段を準備することは非常に有効です。特にOSインストール時や修復作業にはUSBドライブが重宝します。

USB外付けCDドライブを使用して、MEMTESTを実行しました。このツールはメモリの異常を検出するためのものです。サーバーの安定稼働にはメモリの正常動作が不可欠であり、定期的にメモリテストを行うことが推奨されます。

サーバー内部には合計8つの冷却ファンが搭載されています。サーバーが24時間稼働する環境では、ファンの状態がシステム全体の温度管理に大きく影響します。これらのファンが故障すると、冷却不足によりシステムの過熱やパフォーマンス低下が発生します。

7個のファンは9CRA0412P5J04型番で、これらは海外から取り寄せ可能です。ファンが正常に動作していない場合、システム内部の温度が上昇し、最悪の場合は重大なハードウェア障害が発生する可能性があります。そのため、定期的なメンテナンスが必要です。

1個のファンは9GV0412P3J041型番ですが、こちらは流通していないため、代替部品の手配が必要です。サーバーの冷却システムはファンに大きく依存しているため、故障したファンはすぐに交換することが推奨されます。

マザーボードのコンデンサが劣化していたため、オーバーホールが必要です。電解コンデンサの膨張や漏れは、旧型サーバーで頻繁に見られる問題であり、これにより電源供給が不安定になるため、早急に交換が必要です。

搭載されているメモリは1GB×4、型番はm395t2953ez4-ce66です。このメモリはDDR2規格で、当時としては高い性能を発揮していましたが、現在の基準では容量が不足気味です。システムのアップグレードが必要かもしれません。

右側に搭載されていたHDDのクローン作成を行いました。RAID構成のサーバーにおいて、HDDのクローン作成は非常に重要です。万一のデータ損失に備え、常に最新のクローンを作成しておくことで、システムの信頼性が向上します。

中央のHDDのクローン作成も成功しました。RAID 1またはRAID 5構成であれば、複数のHDDのクローンを作成することでデータの冗長性を確保できます。

左側のHDDは読み取り不良のため、クローン作成ができませんでした。このような場合、HDDの物理的な損傷が疑われます。データ復旧のためには、専門の復旧ツールやサービスを利用する必要があります。

RAID構成のため、クローンHDDではシステムを正常に起動できないことが確認されました。RAID再構築の際は、慎重に作業を進める必要があり、不適切な再構築はデータ損失のリスクを高めます。

オリジナルHDDのうち、健康な2台を使用してシステムの正常な起動を確認しました。RAIDシステムの冗長性により、1台のHDDが故障しても、残りのディスクでデータの保全が可能です。

ログイン画面まで正常に推移しました。RAID構成のシステムでは、冗長化によるバックアップが確実に機能しているかどうかの確認が重要です。

中央HDDの容量は136GBで、ステータス情報は不明ですが、問題なく稼働しています。古いHDDの多くはSMART機能に対応しておらず、データ保全や診断が困難な場合があります。

左側のHDDは認識できず、容量やステータス情報も不明です。このようなHDDは、専用の復旧ツールを使用して診断し、可能であればデータを復旧することが必要です。

右側HDDの容量は136GBで、ステータスは不明ですが、他のHDDと同様にRAID構成の一部として正常に機能しています。

インターフェースボード lsi logic all right reserved, l1-01026-05は流通しておらず、今後のメンテナンスには慎重な対応が必要です。こうした部品が欠品した場合、サーバー全体の運用が難しくなります。

インターフェースボード ms-95h0のコンデンサが膨張しています。コンデンサの膨張はサーバーの動作に致命的な影響を与えるため、早急に交換が必要です。

インターフェースボード ms-95h1も流通しておらず、今後の部品調達が難しくなる可能性があります。このような希少部品の管理が重要です。

HDD接続基板のコンデンサが膨張しているため、基板全体のオーバーホールが必要です。コンデンサの膨張や漏れは、電源の不安定さや過熱によるシステム障害の原因となるため、定期的な点検と交換が推奨されます。

HDD接続基板の他のコンデンサも膨張しており、交換が必要です。特にサーバーの重要なパーツにおいて、コンデンサの膨張はシステム全体のパフォーマンス低下や不具合を引き起こします。