修理実績

反射膜厚計の操作PC(OS/2 Warp)端末予備機制作事例

修理の鉄人実績ブログ
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森田起也@パソコン修理の鉄人・(株)日本ピーシーエキスパート代表

1995年シリコンバレーでパソコンと出会い、プラント制御、カーナビの開発・設計を経て2003年に独立。産業用PC修理延命事業を開始。現在はパソコン修理の鉄人として、千葉県柏市にて、日本全国の生産現場の旧型PC修理・延命を行っております!趣味はトライアスロンでそっちでも鉄人です!!

【ご依頼者様】東京都八王子市のお客様

【ご依頼内容】Nanometrics8300(反射膜厚計)のOS/2端末通信復旧と予備機制作
【鉄人の修理内容】旧型PC修理と試作品制作

お客様の要望(ニーズ)

Nanometrics8300(反射膜厚計)のOS/2端末通信復旧

お客様のNanometrics8300(反射膜厚計)は、OS/2で動作するシリアル通信に問題が発生し、計測機能が正常に動作しない状態となっておりました。さらに、お客様からは通信復旧後、予備機を制作し、2台体制で反射膜厚計を安定して運用できるようにしたいとのご依頼を受けておりました。

Nanometrics8300とは?

Nanometrics社は1975年に設立された企業で、半導体やデータストレージ、LEDなどの製造に必要な計測技術を提供しているリーダー的存在です。8300シリーズは、ウェーハ上の薄膜厚さを精密に計測するために使われ、半導体製造プロセスで欠かせないツールです。特に、反射光を利用したスペクトル解析によって膜厚を測定し、透明なフィルムの厚さやその他の特性を高精度で捉えます​:contentReference[oaicite:0]{index=0}。

提案内容

修理および予備機制作のための試作品制作のご提案

まず、修理だけでなく、予備機制作のためにまず試作品を制作し、動作確認を行うことを提案いたしました。

特に重要なのは、OS/2自体がPC単体で正しく動作するだけではなく、現場のNanometrics8300に接続して、装置全体が問題なく動作することです。そのため、最低限のコストでまず試作機を2台制作し、現場での接続試験を行い、装置との相性を検証することをご提案しました。装置が正常に動作すれば、予備機として2台のPCで安定した運用が可能となります。

作業経過報告

1. 互換性のあるPCの仕入れと動作確認

互換性のあるPCを2台仕入れましたが、残念ながら1台は不良品でした。もう一台については、OS/2が正常に起動し、動作を確認しましたが、シリアル通信は正常に行われませんでした。


2. オリジナルPCの修理

オリジナルのPCについては、ハンダクラックが確認されました。これを修理したところ、無事に通信が回復しました。ハンダクラックとは、長期間の使用や温度変化によりハンダ部分に微細な亀裂が入る現象で、電子機器の動作不良の原因となります。


3. 試作機の仮納品

オリジナルのPCを「試作機1」、新たに仕入れたPCを「試作機2」として仮納品いたしました。試作機1は正常に動作し、試作機2についても、シリアル通信復旧のため電解コンデンサの交換を実施し、通信が可能となりました。

電解コンデンサは、長期間の使用で劣化しやすく、システムの不安定さを引き起こすことが多いため、定期的な交換が重要です。


4. 電源ユニットのオーバーホール

試作機1および試作機2の電源ユニットをオーバーホールし、全ての電解コンデンサを交換しました。その結果、安定した通信が可能となり、試作機2の動作も確認されました。


5. 冷却ファンの追加

試作機1には冷却ファンを追加し、温度管理を強化しました。試作機1、試作機2ともに温度異常は確認されておらず、安定した動作が見られました。

冷却ファンの追加は、特に夏場のような高温環境下での動作安定性を高めるために重要です。


結論と今後の展望

これまでの修理作業と試作品制作により、Nanometrics8300のシリアル通信は復旧し、試作機1と試作機2が問題なく動作していることを確認いたしました。次のステップとして、現場での接続試験を行い、予備機としての体制を整えた後、最終的な本組に移行する予定です。