森田起也@パソコン修理の鉄人・(株)日本ピーシーエキスパート代表
最新記事 by 森田起也@パソコン修理の鉄人・(株)日本ピーシーエキスパート代表 (全て見る)
- オンプレ電子カルテシステムのサーバー故障の調査事例 - 2024年10月8日
- 生産設備の監視用PCでブルースクリーンが出て不安定 - 2024年9月25日
- ホテルの設備監視システム用サーバーの修理・延命事例 - 2024年9月24日
- 生産設備監視用PCの修理・SCSI HDDのSSD化事例 - 2024年9月21日
- 設備制御用のFAPC FC-20XE(Windows2000)の機種変更事例 - 2024年9月19日
【ご依頼者様】埼玉県朝霞市のお客様
【ご依頼内容】HP Z220の旧型PC修理
【鉄人の修理内容】旧型PC修理
**HP Z220の外観**
このモデルはHPのワークステーションシリーズの一環としてリリースされ、CADや映像処理などの重負荷作業に耐えうる仕様が特徴です。特にZ220はコストパフォーマンスに優れており、中小企業の設計部門やクリエイティブスタジオでよく使用されています。前面には多くのUSBポートや拡張スロットが搭載されており、カスタマイズ性が高いのも魅力です。
**背面のポート配置**
HP Z220の背面には、旧型PCにありがちなRS-232C(シリアルポート)も搭載されています。このシリアルポートは、工場や医療機器などの産業用機器と接続するのに今でも使われていることがあり、最新のPCにはないため、レガシーシステムの接続に重宝されています。また、DisplayPortが装備されており、モダンなモニタとの互換性も確保しています。
**サイドパネルを外した内部の状態**
PC内部は、設計上は非常にクリーンなエアフローを意識して作られており、ほこりが溜まりにくい構造になっているのですが、長年使用されるとどうしてもほこりが堆積します。定期的なクリーニングがなければ、冷却効率が落ち、CPUやGPUの温度が上がりパフォーマンスが低下します。特にワークステーションのような高性能PCは、適切な冷却が性能維持の鍵となります。
**BIOS画面の確認**
BIOSにはRAID0構成が設定されていますが、表示されているディスクが一台しかないことから、RAID構成が崩れている可能性があります。RAID0は、ディスクのストライピングによってデータアクセスを高速化する技術ですが、冗長性がないため、一台のディスクが故障するとデータ全体が失われるリスクがあります。このため、バックアップの重要性が極めて高い構成です。
**起動エラーのメッセージ**
「起動ファイルが見つからない」または「破損している」とのエラーメッセージが表示されており、これはOSのブートファイルが何らかの理由で破損している可能性を示唆しています。この種の問題は、HDDの老朽化やRAID構成の崩壊が原因で発生することが多いです。特にRAID0構成の場合、一部のデータが失われるだけでもシステム全体が起動不能になるため、HDDの診断が急務です。
**内部のほこりの堆積**
パソコン内部には驚くほどのほこりが堆積していました。特にワークステーションは24時間稼働することも多く、冷却ファンや電源ユニットの中にほこりが蓄積されやすいです。ほこりが冷却を妨げ、熱暴走や部品の劣化を引き起こすことがあり、最悪の場合、基板ショートを引き起こすこともあります。定期的な内部清掃はハードウェアの寿命延長に不可欠です。
**500GBのHDD**
こちらの500GBのHDDはBIOSで認識されていなかったため、故障が疑われます。HDDは機械的な部品を含むため、長年の使用で劣化しやすく、特にデスクトップPCでは3〜5年で故障する可能性が高まります。SMART(Self-Monitoring, Analysis, and Reporting Technology)機能で状態を監視している場合でも、予期せぬ故障は避けられないため、定期的なバックアップが必須です。
**24GBのSSD**
このSSDは非常に珍しい24GBの容量で、データを保持していなかったことからキャッシュディスクとして使われていたようです。キャッシュディスクは、頻繁にアクセスされるデータを一時的に保存し、HDDへのアクセスを減らすことでパフォーマンスを向上させる役割を果たします。しかし、近年ではより大容量のSSDが主流になっており、キャッシュ専用SSDはあまり見られなくなりました。
**内部清掃後の状態**
ほこりを除去した後のパソコン内部は、見違えるほどクリーンになりました。内部クリーニングはPCの寿命を延ばすために重要であり、特に産業用PCやワークステーションでは、熱やほこりによるダメージを防ぐために定期的なメンテナンスが推奨されています。これにより、動作の安定性も向上し、長期稼働が可能となります。
**オリジナルHDDのクローン作成**
オリジナルのHDDからクローンを作成し、新しいHDDに移行します。クローン作成はデータの完全なコピーを行うため、OSやアプリケーションがそのまま移行できる利点があります。これは、業務に必要なソフトウェアを再インストールする手間を省く重要なプロセスです。特に古いCADソフトウェアなど、ライセンス認証が複雑な場合に有効です。
**高負荷テスト通過**
BIOS上で高負荷テストを実施し、システムの安定性を確認しました。ワークステーションのような高性能PCは、長時間の高負荷作業に耐える必要があるため、このテストは重要です。特に、動画編集や3Dレンダリングを行う際、負荷がかかりやすく、動作の安定性がシステムの信頼性を左右します。
**論理障害の修復**
クローンHDDに移行した際に発生した論理障害を修復しました。論理障害とは、データ自体が破損したり、ファイルシステムが不安定になる現象で、特にHDDの不具合やOSの不整合が原因で発生します。これを修復することで、クローンHDDが正常に機能するようになりました。
【お客様の要望】
1週間前から正しく起動しなくなった。
CADで使用しているPCで、CADソフトのバージョンが古いものでないといけないのでPCを復旧したい。
【タグ】
– 古いPC修理
– CADソフト対応
– HP Z220
– グラフィックボード交換
– HDD交換
– Windows7
– メンテナンス
– 応急修理